中央線が浅川を渡るその時

Rambling Column with my favorite Music and some Alcoholic Beverage

2025-01-01から1年間の記事一覧

年の終わりに,ほろ酔い気分で実存主義的な何か

このところTVのニュースでは,帰省客でごった返す新幹線ホームの様子が頻繁に流れていた。ほろ酔い気分でそんな映像を眺めながら,かつては私もあの中の一人だったことを思い出した。そして,ああ,あそこはもう他人の街になっちゃったんだなあ,としみじみ…

番外編 今は「廃語」ではないが,そのうち仲間入りする言葉 3選

『廃語の風景』というシリーズのコラムを書くにあたって,私はまず「死語」と「廃語」を明確に分けようと試みた。「死語」は,実体は存在するがそれを表すのに時代遅れになってしまった言葉を指す。例えば流行の最先端を行く若者はいつの時代も存在するけれ…

2025年 読んでよかった本 3選

こんなタイトルをつけた直後に,じゃあ読まないほうがよかった本もあったのかと自問してみた。結論を言うと,今年に限ってはそんな本はなかったということにしておく。3月の入院時にこれまでないほどの読書への渇望が芽生えてしまったので,どんな本でもそれ…

廃語の風景⑯ 野良犬

いきなり個人的な思い出で申し訳ないが,私は野良犬に襲われたことがある。小学校に入って間もない頃だから,1962(昭和37)年の話だ。 私が通った小学校は市内でも遅く開校したことから,木造ではなく最初から鉄筋コンクリ―トの建物だった。そのあたりは近…

2025年 自分へのメリー・クリスマス 3選

年末進行が一段落ついた。年内最後の原稿を送り出して,今日はすでに『廃語の風景』のコラムも1本アップした。冬休みの宿題はあるが,まだ急がずともよかろう。ともあれホッとしたいので,5時ごろからもう一杯入っている次第だ。 今年は3月に,きわめて軽度…

廃語の風景⑮ 銀玉鉄砲

どうして男の子は,みんな銃が好きなんだろ? 私が子供の頃はそうだったし,今の時代もそれは変わらない。きっと私の父親の世代でも同様だったと思われる。 かの月光仮面からゴルゴ13に至るまで,強いヒーローはみな銃を操っていた。鉄人28号の正太郎少年は…

12月のことば ―「師走」「年末進行」「山本富士子」「力道山」

「師走」である。 中学生の頃,「師」は「先生・教師」を指し,普段は暇な教師でも年の瀬には忙しく走り回ることを表した言葉だと思っていた。さにあらず,「師」とは「僧侶」の意味。年末には法要・法事が多く,僧侶があちこちでお経をあげるために奔走する…

廃語の風景⑭ 種痘/ジェンナー

現在50歳未満の人について言うと,「種痘(しゅとう)」の経験のない人がほとんどだろう。 種痘は天然痘という病気の予防接種である。日本でもかつてはこのワクチン接種が小学生の全員に施されていたが,1976(昭和51)年を境に接種は廃止された。1980(昭和…

廃語の風景⑬ よろめきドラマ

日常生活の中から今や消えていった言葉の中には,消えてしまったことが残念なものがある一方で,消え去って清々した,こんな言葉に迷わされないようになってよかったというものもある。そうした二元論からすると,「よろめきドラマ」はおそらく後者に属する…

とても印象的だった懐かしのアニメ ED 3選

このブログにはマンガやアニメの話がちょいちょい出てくる。それは私の子供時代の環境がおおいに関係しているからだ。 時は昭和34(1959)年にさかのぼる。この年の3月17日,かねてよりTVでも宣伝されていた『週刊少年マガジン(講談社)』と『週刊少年サン…

廃語の風景⑫ オルガン教室

昭和30年代から40年代(1955~1965)の小学校の教室を覗くと,高い確率でオルガンが1台ずつ置かれていた。ピアノではなく足踏み式のオルガンである。アップライトのピアノは音楽室にあるものというのが相場だったし,体育館にグランドピアノが置かれている小…

廃語の風景⑪ 半ドン -2

大阪は,一言で表すなら「リアルな街」というのが総括的な私の認識だ。これは大阪と東京,両都市での生活の中から実感したことである。 大阪人の欲望の中心は,「夢」や「憧れ」や「ステイタス」より,「リアルな」事物の充足に向きがちだ。それは例えばお金…

廃語の風景⑪ 半ドン -1

今どき「半ドン」という言葉を知っている人は,何割くらいだろうか? ハーフサイズの牛丼のことではない。まあハーフサイズは合っているが,それは会社での勤務や学校での授業の時間が普段の半分ということ。土曜半休といって,土曜日の勤務や授業は午前中で…

久しぶりに○○した話 3選

◆久しぶりに公衆電話を使った 1か月くらい前だが,スマホを持って出かけるのを忘れた。1件どうしても電話を入れなければいけない用事があったのに,そんな日に限って充電ケーブルを突っ込んだまま放置してしまったのだ。たまたま相手方の名刺を持参していた…

廃語の風景⑩ テレホンカード

今の子供たち,ポケモンカードはお馴染みでも,テレホンカードは知らないのではなかろうか。私たちにとっては説明するまでもないが,公衆電話で硬貨の代わりに使用できるプリペイドカードである。令和の今でも緑色の公衆電話では問題なく使えるので,実用性…

今日は「世界トイレの日」

ネット上で調べ物をしていたら,今日の暦に行きついた。11月19日は,「世界トイレの日 ― World Toilet Day」なのだそうである。もちろん初耳だ。これは日付を語呂合わせで読んだり,何らかの利益誘導のため業界が先導するキャンペーンなどではない。国連総会…

廃語の風景⑨ マッチ

火をつける=マッチ,という発想は明らかに過去のものだろう。火をつけたいときは「ライター持ってこよう」が普通の感覚だ。マッチは今でも生産されているが,用途は限られている。マッチを普段使いしている,という家庭や職場を私は知らない。そのくせマッ…

今は聴けないお菓子ソング 2選

定期的にお菓子を買って食べる習慣は,あまりなかった。 もちろん酒に習慣はあったし,今もある。昔はタバコもその手合いだった。要するに,酒やかつてのタバコは「中毒」とか「依存症」の類なのだ。お菓子に中毒症状がある人もいるだろうが,私は該当しない…

廃語の風景⑧ 音楽喫茶/名曲喫茶

一人になりたい時があったんです。 友達とつきあうのが嫌いだとか,別にそういうわけではありません。クラスメイトの顔を見ればいつものように授業の情報を交換したあと,昨日観た映画や読んだ漫画のことなど他愛ない話に花を咲かせるのが好きでした。体を動…

廃語の風景⑦ ちんどん屋 -2

赤ん坊がこの世に生を受け,はじめて目に映る世界はもちろん家庭だ。母親がいて父親がいてきょうだいがいる。赤ん坊はやがて,その家庭の中に自分が存在するという意識を持ち始める。この空間を,ここでは一次生活圏と呼ぶことにしよう。 少し成長して幼稚園…

廃語の風景⑦ ちんどん屋 -1

チンというカネの音と,ドンという太鼓の音を合わせて,「ちんどん屋」。名は体を表すというか安易というか,これほどわかりやすい職業名もないものだ。『広辞苑』には,「人目につきやすい服装をし,太鼓・三味線・鉦(かね)・らっぱ・クラリネットなどを…

多分,ここで,だろう

朝から病院に行ってきた。手術を受けるためである。 かなり前から左眼の瞼にイボの塊のような腫瘍ができていて,視界にチラチラ入ってくるので鬱陶しかったのだ。イボは右目の下にもあり,さらに右肩甲骨のあたりに粉瘤(ふんりゅう:皮膚の下に袋状の組織が…

ミシュラン高尾にクマが出る

私の趣味のひとつに山歩きがある。昔はいろいろ遠征もしていたが,コロナ禍で山小屋が閉鎖されたりした以降はもっぱら近場の低山ばかりだ。それでも高尾山から小仏城山,景信山,堂所山,陣馬山と連なる奥高尾縦走路は,標高1,000m未満ながらアップダウンが…

地面の底のくらやみに,さみしい病人の顔があらはれそうな日本の歌3選

最近お気に入りの「3選シリーズ」だが,こんなテーマのコラムを書いて大丈夫か,善し悪しの判断基準が私にはない。調子に乗り過ぎじゃないか,という気は若干する。お読みにならないほうがよろしいかもしれません。 萩原朔太郎詩集『月に吠える』を全編読ん…

もっと評価されるべき昭和歌謡3選

「ナニナニ3選」という形式のコラムをこれまで2つばかり書いたのだが,どうやらそれにハマりつつあるようなのだ。 「1選」でないところがいい。設定されたテーマに沿って1つの事例を選んで論じるのは,例えばここの『廃語の風景』がそうだし,仕事の上では…

あの頃は幼くて,意味がわからなかった昭和歌謡3選

昭和の時代には「歌謡曲」というジャンルの音楽があった。 どんな音楽かは,広辞苑にこう載っている。「日本に伝わるさまざまな音楽と欧米の音楽の混合から生まれた流行歌の総称」。デジタル大辞泉ではこうだ。「昭和初期以降,主に日本で作詞・作曲され,レ…

廃語の風景⑥ 下駄

下駄は,かつては庶民が日常的に使っていた履物だが,今では夏祭りの一時期か,立派な庭園のある温泉旅館でしか見かけなくなっている。一部の板前さんなどを除いて,日常的に使う人はほとんどいなくなったようなので,今回は廃語と認定させてもらった。 『こ…

廃語の風景⑤ 継ぎ当て

継ぎ当ては,継ぎ当てである。最近ではダ―ニングと称して古着などに施すオシャレな修繕を指すこともあるようだが,それとは断じて違う。洒落っ気どころか,どこかビンボくさい香りが「継ぎ当て」という言葉の周辺には漂うものである。 私が小学生くらいのこ…

自分を晒してギャグと為す ~カミングアウト漫画3選~

暴露には2種類あるという。1つはカミングアウトで,もう1つはアウティングである。カミングアウトは秘密にしていた個人情報を自らの意志で打ち明けることだが,アウティングのほうは本人の許可なく他人が勝手に個人情報をバラす行為を指す。言うまでもなく…

廃語の風景④ 急行列車 -4

新幹線の整備が進むに伴って,在来線の優等列車の価値は徐々に低くなり運行本数も減少の一途をたどった。もちろんそれはこの国の鉄道の発展を表しているし,時代の推移と言うべき現象だろう。だがそれでも,新幹線の届かない地域に用事のある人や旅行客には…